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先日、重松清さんが書かれた「ビタミンF」を読みました!

おお!それは重松清さんの直木賞作品だね!
まだまだコロナ禍ということもあり、在宅の時間が多いと思います。そんな在宅時間を有効に使って、たまには読書でも如何ですか?
ということで、今回は重松清さんが書かれた「ビタミンF」のご紹介です。
重松清さんとは
1963年岡山県生まれ。
中学・高校時代は山口県で過ごし、1981年山口県立山口高等学校を卒業。
その後、上京し、早稲田大学教育学部に入学。
ちなみに著者は矢沢永吉の熱烈なファンであり、「成りあがり」を真似て夜行列車でわざわざフォークギターを持って状況したが、東京に着いたらラッシュアワーで死ぬかと思ったとのちに述懐している。
大学卒業後は出版社に勤務。
その後、田村章など多数のペンネームを持つフリーライターとして独立。
また卒業後すぐに22歳で結婚。28歳の時に長女、33歳の時に次女をもうけている。
現在は、各種文学賞の選考委員を務める他、早稲田大学の客員教授なども務める。
野球は広島カープファン。
本作は2000年8月に新潮社より出版、第124回直木賞受賞作。
あらすじ
二十歳の頃に当時付き合っていた彼女と泊まったなぎさホテル。
そのホテルには一風変わったサービスがあり、その名も「未来ポスト」。
将来の自分もしくは誰かに宛てた手紙をホテルがそれまで保管し、時期が来ると投函してくれる。
37歳になった主人公は、当時の彼女とは違う女性を妻にし、子どもをもうけた。
そんな主人公の元に「過去の彼女」が未来ポストに投函した手紙が届く。宿泊優待券と共に。
それを使って家族で宿泊することに。
するとそこに待っていた出来事とは。
時空を超えて甦る記憶、「なぎさホテルにて」。
長年連れ添った母が父の元を去った。
特にこれといった理由もなく、離婚して欲しいと母が申し出たのだ。
二人の子どもを育て、独立させ、また親の介護もした。
33年間、全てを投げうって、母として妻としてやるべき事を全うした母。
その母の申し出に父は引き止めることなく、了承する。
昔、家族だった四人(父、母、姉、私)は、それぞれが違う家族を作った。
もちろん父は一人だったが。
そんな母の内縁の夫が亡くなると今度は父が母に「戻って来い」と声をかけた。
揺れ動く母、そして姉と私。
本書の最後の短編、「母帰る」。
これら家族をテーマにした短編7作を収録。
感想
重松さんによると「ビタミンF」のFとはFamilyであったり、Father、Friend、Fragile、Fortune、・・・そういった<F>から始まるさまざまな言葉をキーワードとして物語に詰め込んだそうです。(本書後記より)
確かにそれぞれの物語には既視感と共に日常に根差す根幹的な問題や場面が採り上げられていたように思います。
また非常に読みやすい文体には既視感につながる懐かしさも漂い、どこか心を温めてくれます。
一方で根幹的な問題を扱っているだけに重いテーマであることには違いありません。
短編という形式でもあり、こうも次から次へと投げかけられるとややtoo much感が湧いて来るというのも事実としてありました。
ただ、後半になるに従って比較的私が気に入ったストーリー(「なぎさホテルにて」、「母帰る」)であったことは良かったです。
まとめ
重松清さんの作品は本書で2作目になります。
今回、本作を読んであらためて読みやすい文章だなと感じました。
本作を読みながら「相当意識して読みやすい文章を書いているのではないか」と勝手に想像していました。
ですから文章そのものに対するストレスはほとんどありませんでしたね。
由緒ある直木賞を受賞するだけの作品だと思います。
ただし、注文を一つ加えるのであれば、これは作者へのというより出版社に対する注文ですが、本の帯に「最泣の一冊」と書くのはいやらしいと感じました。
まずもって泣ける本かというと少し趣きが違うように思いますし、そもそも泣くという行為は人間の本質的な部分でもあり、行為だと思います。
そこを軽々に「さぁどうぞ泣いて下さい」と言われてもむしろ興醒めしてしまいます。
これは本書に限った話ではありませんが、どうもこういった帯・宣伝はやめた方が良いというのが私の意見です。
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